1月2日、正月真っ盛り。古着屋初売りの日は親戚が実家に来るとのことで、時間が無いなかで無理に古着屋を巡っていた。
それなりに店とアイテムには目星をつけており、中でもツイードのコートを狙ってある古着屋へ向かった。しかし、実際試着してみるとサイズが小さく、あまりにもサラリーマンシルエットだったので購入は見送ることにした。生地が良かっただけに、店を出た後もこれにはかなり後ろ髪を引かれた。
他の店も色々見て回ったが大した収穫もなく帰宅の時間も迫る中、ここで最後、と入った店で見つけたのがこの一着だった。
そこはミリタリー・ヴィンテージ系の古着屋で、大型の商業施設の地下に入っている。店舗は広めで、古着ゾーンだけでも2ブロックに分かれており、また通路を挟んだ向かい側のスペースにはヨーロッパから仕入れた古道具のコーナーもある。名の通ったヴィンテージが多く、見ていて楽しい店だ。生まれたところから時間も距離も隔てて僕の目の前に現れているだけのことはあり、どの服も欲しいと思わせる魅力があった。
なんせ量が多いので、かなりの時間見ていたと思う。乗ろうと思っていた電車も逃し、本当にそろそろ帰らないとまずいぞ、と焦り始めた時にやっと見つけた。一月の北海道において春はまだ遠く、それほど厚くない綿麻生地ということもあってか、ギチギチに詰まったラックの中にこのコートは隠れるようにかかっていた。
タグには「50s Netherland or Belgium」と書かれている。1950年代のオランダ製、もしくはベルギー製のようだ。最初は生地に惹かれて目についたのだが、手に取るとちょうど探していたダブルブレスト仕様だった。
これは…と思い試着してみる。するとサイズ感は良いのだが袖丈が短い。手首手前までしかなく、完全にツンツクテンだった。デザインはかなり好きなんだけどこれはどーしたもんかな、と思案するもすぐさま店員が「袖丈がかなり短いコートなので、袖はまくって着た方がいいですよ」とアドバイスをくれる。実際そうしてみると、ビタリとピースがはまったように一瞬で垢抜けた雰囲気になった。自分でこれを思いつけなかったことが少し悔しい。しかし、鏡に映る自分は穏やかな雰囲気で、このコートがよく似合っており「これ、買います」と即決した。
レジにて、オーナーっぽい人に「これ見たことありますか?」と聞かれ、「ないです」と答える。
「僕も長年仕入れしてますけどこういう生地のダブルのコートは見たことないですね」と本当なのか営業トークなのかわからない話を聞く。珍しかろうがそうでなかろうが、自分ツボを突く買い物ができたので、ホクホクで帰路についた。実家に帰り、親戚たちと麻雀をした。買ったか負けたかは忘れた。






